第十二日目	2011年3月28日

　　　　　　ヤズドからイスファハンへ

今回の旅行は強行軍でホテルでもTVを見る暇がなかったのですが この一両日
やっとBBCなどで日本の地震情報に接することができました｡

ひどい惨状ですね｡(この日の朝のTV画面を添付しておきます)

｢ミネラルウオーターが日本で手に入りにくくなっている｣との話で 同行の婦人の
中には(イランから水を持って帰ろうとボトルをトランクに入れ始める人も出る始末
です。）

12日目は 8:00ホテルを出て 残ったヤスドでの市内観光｢金曜日のモスク｣
(マスジェンテ･ジャーメ)の見学です。

この｢金曜日のモスク｣(マスジェンテ･ジャーメ)は 780年前14世紀にゾロアスター
教神殿の跡地に建てられたもので ヤスドで最も高いミナレット(尖塔）を持ちます｡

入口には鎖が垂れていますが これはここで裁判が行われていたしるしだそうです｡

壁のタイルも内部のステンドグラスも精緻･華麗でした｡

9時前にバスはイスファファンへ出発ですが 車窓からヤスド市内の｢アシュラ葬儀
の家｣を眺めました｡

アシュラの祭りは 預言者マホメッドの孫 シーア派三代目イマーム ホセインが西暦
680年10月10日カルバラで惨殺され カルバラのイスラム教徒も助けに行かなか
った事を悔み､毎年イラン全土で追悼の祭りがおこなわれ､ホセインの苦痛を偲ぶ
ためにイスラム信徒は自ら体を鎖で叩いたりしながらパレードをするもので イスラ
ム･シーア派最大の行事です｡

このアシュラ祭のために｢アシュラ葬儀の家｣が設けられ､モスクや広場･貯水槽･
ハマム(公衆浴場)もある複合施設となっています｡

また御神輿のようなナフルと呼ばれるものも準備され 当日は飾り立てたこれを担
いで街を一周するそうです｡

ところで唐突ですが ヤスド出発前金曜日のモスクで行ったトイレを撮っておきま
したので　ここでイラン式トイレの紹介もしておきましょう｡

写真のトイレがイランの標準式のもので 用を足した後 紙などは使わず横の水道
ホース（無ければ水桶から水を出し）自分の手で後始末をします｡

したがってトイレの洗面所ではみな石鹸をつけて入念に手を洗っています｡

訝しく思ったのは 男性用の小便器なるものは皆無で みなこの個室式であり そ
のぶん数が少なくなるので ガソリンスタンドなどでも 女性と同様男性も順番待ち
の長い列ができます｡因みに男性も小用をたすのも所謂立ってするのではなく皆
しゃがんでするそうです。
尾籠な話で恐縮ですが 民俗･国情紹介のため・・・｡

ヤズドを出てイスファファンまで移動距離は約300km｡

11:20 途中道路脇のキャラバン･サライ(隊商宿）を見学｡

キャラバン･サライは16世紀サファービー朝のアッパース一世の命によりイラン
各地に999棟建てられ その間隔は35-45ｋｍ ラクダが一日に歩く距離に相応
しているようです。

ここにはガナートと呼ばれる地下用水路も残っており､同様のものが中国ではカレ
ーズ､アフリカではフォガラと呼ばれていますが発祥はイランのヤズド近辺だそうです｡

12:10-13:20 途中ナインの町のツーリストインで昼食｡
(サラダ・スープ・ナン・干しブドウご飯・牛肉など)

15:05　イスファファン到着。

イスファファンはイラン高原最大のサーヤンデ川の中流に位置し､｢イランの真珠｣
とも呼ばれる美しい街で イラン人の自慢です｡

古くアラブ人の侵入があった折に軍隊の野営地であった事から7世紀に軍隊の
地と呼ばれ､現在のイスファファンの名の由来となっているが､その後もシルクロー
ド交易の要衝として重要な意味を持ち続けました｡

1587年サファビー朝のアッパース一世(大帝）が此処を首都とし､自らの設計のも
とで都市計画を推進､イマーム広場･宮殿･バザール･橋など壮大な街並みと 絹の
輸出･細密画･タイル美術･陶器など精緻な美術工芸の街に仕上げたものです｡

イスファファンの主観光は明日の予定ですが､われわれはサーヤンデ川のハージ
ュ橋の袂でバスを下り しばらく散歩を楽しみました｡

この橋には中央にロイヤルボックスが設けられ 王様たちが時々川の景色を楽しん
でいたようです。

また橋の下部には堰が設けられており 川の流量調整にも役立てていたようです｡
(もっとも最近は川の水がかなり減っており流量調整どころではないようですが・・)

あたりは公園になっており 多くの市民が家族連れで過ごしていました｡

次いで33アーチ橋の名で親しまれているスイー･オ･セ橋に移動。
此処も見事な景観です。

此処に限りませんが 今までの旅行中 至る所の公園で家族連れの団欒の姿が
多く、 家族仲良く過ごすイランの国民性には感心しますね｡

16:15 イスファファン アセマンホテルに到着｡

有志はタクシーで買い物に出た後 18:30からホテル最上階の回転レストランで
夕食｡

19:30から　夜景見物に出発｡
イマーム広場･33アーチ橋など 何処も夢幻的で 素晴らしい景色を楽しみました｡

21:40　夜景見物からホテル帰着。

今夜は満足してゆっくり眠れそうです。

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